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空気をはかる[1]
  私たちの空気は「汚れ」ている?

自然豊かな高原にて「あー、空気がおいしい!」と、声に出したかと思えば、都会に戻ると「やっぱり都会の空気は……」とボヤく。自然に囲まれた暮らしをしている方は、逆の経験をされているかもしれませんね。

空気がおいしいかどうかはさておき、私たちの暮らしで空気がないことは考えられません。人間は空気中の酸素などを取り入れてはじめて、脳や心臓、大切な器官が活動します。そこまで根源的な話に戻る必要もないでしょう。料理に使うコンロのガスから発電するために必要な燃料を燃やすため。当たり前のことですが、空気がなければ私たちは生きていけないのです。

空気の大切さをお話したところで、再び空気の質について。「空気が汚い」「空気がきれい」といった表現は、日常的に使いますよね。空気は、味よりもむしろ、「汚れ」で表現されることのほうが多いです。代表的なのが大気汚染。空気は基本、窒素に酸素、二酸化炭素などにより組成されていますが、私たちの生活で排出されるさまざまな物質が漂います。その中で人の健康に悪影響を与える物質を「大気汚染物質」と定め、健康的な生活が守られるための基準値を設定しています。

この汚染物質が皮肉なことに、先に挙げた火を使うシーンや、私たちが生きていくための活動の中で生まれてしまっています。人の生活が営まれながら、きれいな空気を維持することはできないのでしょうか……? そこで「空気をはかる」。今回のシリーズでは、空気の汚れにまつわるお話をお届けします。


空気の汚れを知るためのキーワード「大気汚染物質」

大気汚染物質は、主なところで二酸化硫黄(SO2)、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化窒素(NO2)、光化学オキシダント(Ox)、ダイオキシン類、微小粒子状物質などが挙げられます。これらは主に自動車の排ガス、工場や焼却場から排出される煙から大気中に広がっていく物質です。すなわち日常生活を営む過程で生じた問題なのです。

これら大気汚染物質には明確な危険性があります。大気汚染物質を吸い込み、気管支や肺に入れてしまうと、喘息や気管支炎、肺機能の低下などが引き起こされます。実際日本でも1960年代には、工場地帯の住民を中心に喘息患者が増加するなど、経済や産業が発展していく中で社会問題にもなりました。

ならば文明化した社会を捨てて、自然と共生する世界を目指すのか? そんなシンプルにはいきません。汚染された空気を浄化するための技術も研究されていますが、ハードルは高い。ならば汚染の元を抑えようということで、ろ過機などを使った排出時の浄化が行われています。また、法律や条令で排出量そのものを規制する動きも。工場から排出される大気汚染物質については、大気汚染防止法、都道府県の生活環境保全等に関する条例などが施行され、一定の環境基準を守ることが義務付けられています。自動車についてもディーゼル車運行規制の取組みや、最近では電気自動車やエコカーの開発など、さまざまな面でさまざまな人や団体が、汚染物質の発生自体を抑えようと努力しています。


「環境モニタリング」で空気の汚れをはかる

人々が大気汚染を防ぎ、きれいな空気を守るための取り組みはあらゆるところで行われています。そのための第一歩として、大気汚染の状況を把握する必要があります。そのひとつが「環境モニタリング」。監視すべき地域を決め、交通量や工場からの排出量を管理し、汚染物質の量を可視化します。設置される場所は目的によってさまざま。住民の環境を測定するためには住宅の近くに、自動車の排ガスを詳細に調べるためには直接的に道路脇、といった具合です。汚染の量を調べるためだけではなく、汚染物質の排出を未然に防ぐためにも使われています。工場の敷地内や、さらに自動車など移動しながら汚染物質の発生源になりうるケースでは、製造段階でのチェックが欠かせません。

「環境モニタリング」で収集したデータは自治体や国に送られ、気象に関する注意報・警報の発令や、新たな規制の制定につながります。光化学スモッグ警報や、近年特に問題視されているPM2.5に関する注意喚起が身近なところでしょうか。対象となる汚染物質によって計測方法や機器も異なりますが、きれいな空気を、私たちの生活を守るために、このようなモニタリングは日本各地で行われています。ここに「空気をはかる」技術が使われています。


次回は「空気をはかる」仕組みについて、実際に使用されている機器のお話をします。

 

空気をはかる

>>空気をはかる[2] 大気汚染対策に「空気をはかる」が果たすこと
>>空気をはかる[3] 大気汚染をはかることは「はかりつづける」こと

 

Photo by Thinkstock/Getty Images


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ぶんせきコラム おいしい空気とキレイな空をまもる

環境Q&A そら・大気汚染(空気の汚れ) – 神奈川県ホームページ

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