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pHをはかる[1]
  pHって何?

酸性とアルカリ性を判別する時に用いられる数値、pH(ピーエッチ)。多くの人にとってpHの認識はこのようなものなのでは? 研究や仕事でpHを「はかる」ことでもなければ、pHがどのような単位なのか、私たちの生活とどのように関わっているのか、なかなか知る機会もありませんよね。水溶液の性質を表すのに大きな役割を果たし、実は私たちの暮らしにも欠かせないpH。今回のはかる学入門は、pHの成り立ちから生活への関わりまでを前後編にわけて紹介します。


pHの基本、酸性とアルカリ性

pHの基本、酸性とアルカリ性

pHは日本語で「水素イオン指数(または水素イオン濃度指数)」と呼ばれ、酸性・アルカリ性の度合いをあらわす単位です。pはパワー(指数)、Hは水素をあらわしており、0から14までの数値で表されます。中間値のpH 7が中性で、低い値を酸性、高い値をアルカリ性と呼びます。pHの考案者はデンマークの科学者・セーレンセン。彼がデンマーク人だったため、デンマーク流に「ペーハー」と読まれることも多いのですが、1957年のJIS(日本工業規格)化を経て現在では「ピーエッチ」に統一されました。一般的にはどちらの読み方でも通じます。

私たちの身近なものでpHをはかってみると、水道水がおよそ6.5、海水は8.0~8.5程度。そのほかにも普段口にする飲み物のほとんどは、中性よりやや酸性になっているものが多いです。夏場の気温が高い時期に、“ペットボトル飲料を飲みかけのまま長時間放置すると細菌が増えて危険”というニュースがありました。水・お茶などは中性に近く、細菌が繁殖しやすいので傷みやすいと言われています。逆にスポーツ飲料はpH 3.0~4.0と酸性で雑菌の繁殖を防ぐ作用があるため、常温でも傷みにくいのです。一方で酸性が強い食べものや飲みものは、歯を溶かしやすいということも知られていますよね。


目で見るpH

目で見るpH

みなさんはpHをはかった経験がありますか? おなじみなのはやはり、リトマス試験紙でしょう。ちなみにリトマスとは苔の名前。試験紙に使われる試薬が、地中海地方のリトマス苔から作られることに由来します。酸性では青色の試験紙が赤く、アルカリ性では赤色の試験紙が青く変わるというリトマス試験紙の実験は、理科嫌いの人でも覚えているはず。このリトマス試験紙を使った測定はあくまでも大雑把な酸性・アルカリ性の判定方法で、pHが5程度より低い酸性か、8程度より高いアルカリ性でしか反応しません。

リトマス試験紙の他にもpHをはかる方法はたくさんあります。“万能試験紙”はpHに応じて14段階で色が変化し、リトマス試験紙よりもはるかに詳しくはかることができます。高校の化学の実験などでも使われる“BTB溶液”は、3段階で性質を示すことが可能。酸性を示すと黄色になり、中性で緑に、アルカリ性を示すと青へと変色する仕組みです。ほかにもpH 10以上でアルカリ性を示すと赤紫色に変色する“フェノールフタレイン溶液”、酸性から中性に変化するにつれて黄色から赤へ変色する“メチルオレンジ”などなど。指示薬ごとに反応する範囲が違うため、さまざまな用途に応じて正確なpHの値を調べることができます。


pHのこと、少し思い出していただけたでしょうか? 自然界では、アジサイの花の例もあります。アジサイの花の色は土壌のpHと関連があり、pH 4.5~5の酸性土壌では青色が強く、酸性が弱くなるにつれて赤みを帯びてきます。リトマス試験紙とは赤・青の関係がちょうど反対の関係になっている、と覚えてくださいね。

後編ではさらに詳しく、pHの成り立ちを見ていきましょう。

 

>>後編はコチラ

 

Photo by Thinkstock/Getty Images


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