Global Business Project
[特集]ホリバの世界戦略
世界の医療に貢献するホリバの決意
検体検査機器開発に取り組む
医用システム統括部取材
| 医用システム統括部 医用システム統括部長 |
国房 俊彦 |
| 医用システム統括部 医用システム企画開発部 副部長 |
山田 繁樹 |
| 医用システム統括部 医用システム営業部 副部長 |
臼井 誠次 |
| 医用システム統括部 医用システム開発部 副部長 |
河野 猛 |
| 医用システム統括部 医用システム開発部 マネジャー |
奥 成博 |
'96年6月、ホリバは世界的な製薬企業グループのエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社の傘下にあったフランスの血球計数装置メーカー・ABX社を買収しました。ABX社は'87年からホリバとの間で小型の血球計数装置に関する国内販売・製造ライセンス契約を結んできた提携企業であり、同社がホリバグループに入ったことで、同装置におけるホリバのシェア・アップに大きく弾みがつきます。買収後の経緯や進行中の計画も含めた医用事業の展開について、医用システム統括部の面々に話を聞きました。
今回の買収で販路や市場はどのように拡大しましたか。
国房:従来、ホリバでは小型の血球計数装置をフクダ電子(株)を通じて医院・診療所向けに販売し、この分野で15%のシェアを獲得してきました。そして、今後は大型機種においても、ABX社買収によって得られた同社の製造・販売ノウハウをもとに開発を進めます。大型機種の展開は、国内では三菱商事傘下のエム・シー・メディカル(株)を通じて総合病院や検査センター向けに販売し、一方、東南アジアへの展開の足掛かりとしてはまず中国へ、三菱商事がこの製品を販売していくことになっています。具体的には昨年末に国内に関する販売業務の移管を完了し、1月から本格的に活動を開始しました。ホリバの医療分野は、創業期に肺機能診断用の呼気ガス分析計を開発して以来ですから歴史は古いのですが、飛躍のきっかけがなかなかつかめなかった。今回は絶好のチャンスだと思っています。
血球計数装置とはどんな装置ですか。
奥:血液中の白血球や赤血球の数を計測する装置です。検体検査における必須項目で、貧血や各種疾病の診断に用いられます。小型機種は検査項目を絞り込んだ機能集約型ですが、大型機種はメーカーごとに新たな機能を付加して特長を出していく傾向にあり、ここにABX社にはないホリバの技術シーズを活かして競争力のある装置を開発しようというのが開発面での大きな狙いです。すでに技術者の交流は活発に進んでおり、共同開発の成果も近い将来表れてくると思います。
ABX社としてもホリバに対する期待は大きいでしょうね。
国房:そうですね。企業買収には、販売会社が相手の製品の販権を手中にするために行う場合と、メーカーが技術の融合・発展を目指して行う場合との二通りがありますが、我々の場合は完全に後者で、販売網の整備などの点で立ち上がりは遅くとも、技術面でのメリットはそれを差し引いて余ると思います。また生産面でも、血球計数装置に関してはABX社に一本化することで効率化がはかれますし、品質管理面でもホリバはISO-9001を取得していますので、それに基づく指導ができます。
臼井:加えて販売面でも、医療機器には技術サービスが不可欠ですから、ホリバの海外子会社を活用できるメリットは大きい。また三菱商事との提携も販売面での強みになるでしょう。
販売面での具体的な目標は?
臼井:当面は国内中心に足元を固め、国内トップシェアを狙います。そして、全世界に通ずる製品を開発し、ゆくゆくは世界トップシェアを達成したい。現在、ABX社は世界シェア5位で、4位とはほぼ横並びの状態です。そこにホリバの技術が加われば一気にトップを狙えるはずです。
国房:ホリバの医用部門の売上高は現在約10億円ですが、これを2000年までに約5倍に伸ばすのが目標です。わずか4年で5倍というのは、随分大きな話と思われるでしょうが、十分達成可能なラインなのです。
血球計数装置の他に、
これからの医用部門の柱となる製品にはどんなものがありますか。
河野:これも検体検査機器の1分野ですが、現在マーケティングを進めている“point of care"、つまり患者を待たせない適時検査機器が血球計数装置と並ぶ大きな柱になる見込みです。主に糖尿病や肝臓病などの疾患別簡易測定装置を指しており、これからの高齢化社会において非常に重要になる技術だと考えています。私がかねてから研究開発を進めてきた免疫測定法が、そのキーテクノロジーの一つになるはずです。
山田:ホリバは「環境分析で社会に貢献する」ことを企業理念としていますが、地球環境と並んで人の生命を守ることに関連した事業ということで、会社全体の士気も上がっており、当部門に期待がかかっています。国内はもとより、世界の医療に貢献する、その地歩をこの2〜3年のうちにしっかりと固めたい。ABX社の買収によって素地は十分整ったと考えています。
|