日本のアルミ缶の年間生産エネルギーは、60億人の一日の生活エネルギーと同じ60億eu(環境単位)です。
現代生活の便利さの象徴でもあるアルミ缶を、LCAの手法を使って具体的な分析を行ってみましょう。アルミ缶の一生を調べながらリサイクル問題について考えてみたいと思います。
アルミ缶はビールや炭酸飲料の容器として使われています。重さは約20gです。気密性、遮光性、そして安全で軽いといった特徴から飲料の容器として盛んに使われています。年間の販売量は26.5万トンです。1本20gで換算すれば130億本のアルミ缶が一年間に消費されていることになります。人口一人当たりに換算すると年間100本になります。これ以外にも輸入されているビールもありますし(輸入品はスチール缶が多いようです)相当な量のアルミ缶が世の中に出まわっているのです。
また、清涼飲料を考えれば他にガラスビン、スチール缶、ペットボトル、紙パックなどの飲料がありますから、いかに多くの容器廃棄物が排出されれのかがわかると思います。この飲料容器をリサイクルを推進するための法律が「容器包装リサイクル法」と呼ばれているものです。この法律では容器の再資源化義務は飲料メーカーということになっています。さて、このアルミ缶ですが、1995年時点で約65%が再資源化されていることになっています。つまり17.5万トンのアルミ缶は回収されているのです。
ここでアルミ缶の原料アルミについて少し調べてみましょう。国内のアルミ缶などのアルミ圧延製品の生産量は241万トン(1995)です。つまりアルミ製品の約10%はアルミ缶として消費されていることになります。世界的に見るとアルミは1次アルミ、2次アルミあわせて約2000万トン(1993)が生産されています。つまり世界の生産量のなんと10%以上が日本で生産されていることになります。
さて、1次アルミ、2次アルミという聞きなれない言葉が出てきました。これは後で説明します。では、もう少し視野を広げてアルミの一生を見てみましょう。
アルミは金属としてはアルミニウムです。「Al」であらわしますが、地殻に含まれいる金属の中ではもっとも多く、全地殻の8%を占めると言われています。地球上の全元素としてみても酸素、珪素について3番目に多い元素なのです。アルミニウムは鉄や銅のようにアルミニウム鉱石というものがある訳ではありません。ボーキサイトというアルミニウムの化合物として地中に存在しています。ここではボーキサイトが採掘されてアルミになるまでをまとめてみましょう。
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ボーキサイト:Al(OH)3・xH2O
年間約1億トン採掘される オーストラリア、ギニアなどが主な産地
抽出、精製、脱水処理。温度1200℃で処理 |
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アルミナ:Al2O3
電気精錬。940-980℃。 約2トンのアルミナから1tのアルミニウムが作られる。 このときアルミニウム1tあたり約15000kWhの電力エネルギーが必要。これは約 50x106 kcal年間約1億トン採掘される。 |
なお、ボーキサイトからアルミニウム1tを作るためには 21100 kWh/t のエネルギーが必要といわれている。
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1次アルミニウム
1次アルミとして世界では年間1600万トン生産される。国内ではほとんど生産されず、輸入中心。 |
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2次アルミニウム
プレスくずや回収されたアルミ製品を精練。 世界的には年間500万トン程度生産。 国内では約120万トンを生産 |
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日本国内のアルミニウム
2次アルミ地金 118 万トン(1995) アルミ圧延製品 241 万トン(1995) アルミ缶 26.5 万トン(1995)
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このようにしてアルミは誕生します。特にその生産過程の中で大量の電力が必要になってきます。
さて、ここで視点をアルミ缶に戻しましょう。日本のアルミ缶販売量は重量比で世界のアルミ生産量の2%を占めます。このアルミの生産に必要なエネルギーは、です。環境単位でみてみれば、つまり60億人の一日の生活エネルギーにあたるのです。これを毎年ごみとして捨ててしまうのはあまりにももったいないといえますね。
次に、このデータを利用して簡単にLCA的な手法でアルミ缶のリサイクルを考えてみたいと思います。
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