アルミ缶をリサイクルして節約できるのはボーキサイトから一次アルミを作るまでのエネルギーです。一般にアルミを再利用するときに必要となるエネルギー量は590kWh/tといわれており、ボーキサイトからアルミを作るときのおよそ3%といわれています。これまでの数字を使いアルミ缶のリサイクルの効果をまとめてみましょう。
- アルミ缶1つ(20g)をボーキサイトから作るときのエネルギー
- 約362 kcal
- アルミ缶1つをリサイクルしたときに節約できるエネルギー
- 上記の97% つまり 350 kcal(0.175eu)
これはお茶碗いっぱいのご飯とほぼ同じエネルギー量になります(お茶碗いっぱいを100gとして換算)。ちなみにノートパソコン(約20W)が350kcal( 約407Wh)で動く時間は、およそ20時間ということになります。つまり、アルミ缶を一個リサイクルしたときに節約できるエネルギーは、丸一日ノートパソコンが使えるエネルギーに等しいのです。eu=環境単位)
さて、ここでLCAの手法を使って、アルミ缶のリサイクルを考えてみましょう。アルミ缶をリサイクルのためには、普通のごみの収集に加えて、選別、洗浄、そしてアルミを再資源化する電気炉へ輸送する必要があります。この電気炉でアルミは新地金と混ぜられたりして、新しい地金へ生まれ変わります。
ここでは特に輸送に注目してみましょう。輸送に使うトラックは4t車として、それにぎりぎり4tのアルミ缶を積むとします。輸送の平均移動距離を80 kmとし、自動車の燃費は5km/Lとしましょう。
- アルミ缶は
-
- 各家庭から市などの収集により回収
- 分別、シュレッダーなどの中間処理施設へ移動
- 中間処理施設から仲介業者へ移動
- 精練するため電気炉へ移動
という大きく4つの移動があります。ここでは計算を簡単にするため、輸送距離はすべて 80 kmとします。この80kmという距離はあくまでも移動の平均的な数字です。
では、このモデルでどれくらいの燃料が必要になるか見てみましょう。
移動距離4つの合計で約 320 km
消費した自動車燃料 64 リットル (燃費5km/Lで算出)
自動車燃料のエネルギー量は 10,000kcal/Lとすれば、4tのアルミ缶を回収して、電気炉まで輸送するエネルギーは640,000 kcal(320eu)
つまり、1tのアルミ缶を再利用する際に必要となる輸送エネルギーは
160,000 kcal(80eu)
となります。これは1缶あたりに直せば約3 kcalになります。実際にはこれに洗浄や選別のエネルギーがかかりますがそれでも350kcalを節約するためにかかるエネルギーが数 kcalであるならばリサイクルの意義は大きいのではないでしょうか。
さて、最後にもう少し視野を広げてアルミ缶のリサイクルを見てみましょう。アルミ缶のリサイクルで節約できるエネルギーは、ボーキサイトから1次アルミを作るまでのエネルギーです。ところが、この1次アルミはそのほとんどを輸入に頼っています。つまり、アルミ缶をリサイクルしてエネルギー自体の消費量は減らすことができますが、国内に限って言えば、エネルギーの消費量は増える結果となります。しかも、そのほとんどは輸送エネルギーや洗浄、再処理などに使われる石油など化石エネルギーです。
つまり、国内における環境負荷は結果として増えることになるのです。
アルミ缶をリサイクルすれば国内の環境負荷がちょっと増えます。その代わり海外のアルミ工場における大量の環境負荷を減らすことができるようになるのです。
さあ、あなたならどうしますか。これは簡単なようで難しい問題です。