環家では昨日なんとか引越し荷物を片づけましたが、まだお父さんの部屋や進くんの部屋の整理や台所の準備が済んでいないようです。進くんは夏休みなので学校が始まるのはまだしばらく先のようです。でもお父さんは今日から出勤しなければなりません。
「進、もう起きなさい。」お母さんの声がします。
「今日から朝ご飯は6時半からですよ」
そういわれて進くんはようやくベッドからでて来ました。
「おはよう。今何時なの?」
「6時ですよ。早くシャワーを浴びてご飯の用意をしてくださいね」
「はーい」と答えつつ、進くんはいままでよりも1時間ほど早くなった朝に面食らっているようです。
さて、朝ごはんの食卓です。
「お父さん。会社へはどうやっていくことになったの?電車、それともバス?」
そう聞きながら進くんはトーストにバターを一所懸命ぬっています。
「うん、電車だ。近所のK駅から大体1時間くらいかな」
といいながらお父さんはすましてコーヒーを飲んでいますが、実は乗り換えが2回もあって、おまけに随分と電車も混んでいるので結構大変そうだ。と思っているのです。
「ふーん。車では行かないの?」
「車だともっと時間がかかるし、それに会社も電車通勤を奨めているらしい。」
「どうして車はだめで、電車通勤なのかしら?」と不思議そうにお母さんが尋ねます」
「お母さんも知っているだろうけど、とうさんの会社はエネルギーをたくさん使ってアルミをつくっているだろう。その時にたくさん排気ガスがでる。今は公害の原因となる硫黄酸化物はほとんど出ないけどな。だから少しでも環境にやさしい企業になるため自家用車での通勤はしないようにしているんだ」
進くんは車一台分のエネルギーなんて大した事はないのになぜだろう、と考えながらパンを大きな口を開けてバリバリと食べています。
「でも、車の使うガソリンの量なんて、工場の使うエネルギーに比べたら大した事はないんでないの?」
「そう思うかい?そうだ、お母さん、何かアルミかんの空缶があったらその重さを量ってくれないかい」
「ちょっと待ってね。ちょうど昨日飲んだビールの空缶があるわよ」
いつのまにか席を離れていたお母さんが台所でごそごそしています。
「あら、お父さん。6本とも飲んじゃったの?」
とお母さんの声が聞こえてきました。
「あぁ」といいながら内心「まずいことを頼んだなぁ」と思うお父さんです。
「そうね大体20g位かしら」お母さんがはかりで量っています。
「そう。大体それくらいだと思う。さて進、このアルミ缶に使われているアルミを作るのにはどれくらいのエネルギーがかかると思う?」
「どれくらいといっても、よく分からないなぁ。エネルギーは確かジュールで表すよね」
「最近はそうだな。昔は熱量のカロリーを使っていたけどね」
「うーん。確か人が一日に生活するために必要なエネルギーが2,000 kcal(8,372kJ)位だと生活科で習ったけど」