「進の場合は4,000kcal位食べてるわね」
とお母さんの鋭い指摘。
「では、その一日の生活エネルギー2,000kcalと比べてみよう。さて缶1つ分のアルミを作るエネルギーは人の一日の生活エネルギーの何%くらいだろう?」
「そうだな、半分くらいかな」
と進くん。思い切ってあてずっぽうを言ったようです。
「じゃあ、母さんはどう思う?」
「そうね、確かビールの食べ物としてのエネルギーは一本大体140kcal(586kJ)だったかしら、少なくともそれより小さくないと、入れ物の方を作るためのエネルギーが大きくなってしまって何か変な気がするわね」
さすがにお母さんらしい答えです。
「さて、では計算してみよう。確か1tのアルミを作るのに必要なエネルギーは21,100 kWh だから、1本、つまり20gに換算すれば、えーと、kWhをカロリーに直せばそう大体360kcal(1,507kJ) かな。ということは一日の生活エネルギーと比べると1/5位になるな」
「じゃあ、中身よりも大きいじゃないの?」
とお母さんは少し驚いているようです。
「でも、アルミ缶は一度つかうとゴミになってしまうよ」
進くんもアルミ缶を作るのに必要なエネルギー量が、中身の食品エネルギー量より大きいことに驚いているようです。
「そう。もったいないだろう。だから、このY市でもアルミ缶のリサイクルを進めているんだよ」
「さて、それでは、同じ缶1つ分のアルミを作るエネルギーで車はどれくらい走れると思うかい?」
「車の燃費は大体10km位だから、うーん、わかんないや」
やや投げやりな答えです。
「それじゃ教えよう。車は進むも今言ったように1リットルで大たい10kmくらい走るとしよう。1リットルはおよそ1万kcalだから、360kcalはおよそ30分の1だろう。そうするとどれくらい走れることになるかい?」
「えーと、つまり10kmの30分の1だから、えと、330メートルだ」
「そう。計算では360メートルになる。ガソリンで車が走れる距離は1万kcalで1万メートルだから憶えやすいだろう。1kcalで1メートル走れるのさ」
「つまり、父さんが40kmを車で走れば大たい缶100個分ののアルミを作るのと同じエネルギーをつかうことになるんだよ」
「ふーん。そうなんだ」
アルミを作るのに意外とエネルギーがかかることと、そしてお父さんが実はいろいろと知っていることに気がついて驚いているようです。
「さあ、お父さんそろそろお出かけの時間ですよ!」
お母さんが時計を見て、お父さんに声をかけます。
「お、もうそんな時間か?」
お父さんは、読みかけの新聞を丸めると、かばんに押し込んで玄関へ向かいます。
「じゃ、進、お婆さんのお迎え頼んだぞ」
「はーい」
お母さんが台所から出てきてお弁当をお父さんに手渡します。
「じゃあ、おとうさん、気をつけてね」
「あ、よろしく頼むよ」
そういってお父さんは出かけて行きました。
[あーあ、僕の新しい学校も電車じゃないと通えないんだよな」
「そうね。北海道にいたときのように寝坊したからといってお父さんに送っていってもらったりもできませんよ」
お母さんにそういわれてちょっと不満気味。
でも、お父さんにいろいろともっと話しをきこうと思う進くんです。