洗濯1回分のエネルギー=5kmの散歩=0.1.eu
それから3か月が経ちました。
今日は天気も良く、おばあさんは優子さんとさっさと洗濯や掃除を済ませて、近所のO記念館で開かれる、弦楽アンサンブルを聞きに行くことになっています。
「優子さん、もう洗濯するものはないのかい?」
おばあさんが、洗濯籠を抱えてバスルームから顔をだしています。
「ええ。それで最後ですわ」
優子さんは朝食の後片付けをしているところです。
おばあさんは、籠の中身を洗濯機にポンポンと入れています。環家の洗濯機はドラム式で、乾燥まで一気にできるもののようです。
「優子さん。ほんとに家事は楽になりましたね。私は洗濯機を初めてみたときは楽になってほんとに驚いたけど、今では乾燥までしてくれるのだから。」
おばあさんは昔のたらいと洗濯板の時代の重労働を思い出しているようです。
「優子さんは洗濯機がない時代は知らないでしょう?」
「そうですわね。小さいときから洗濯機だったように思います」
「ずっと昔はどうやって洗濯していたのでしょうね。きっと1日がかりだったのでしょうね」
優子さんはどうやら洗い物が終わったようです。
「そうですよ。特に冬場は大変でしたよ。でも洗濯は大昔からずっと大切な仕事ですからね。ローマ時代にはもう水道もあって、プロの洗濯屋もいたのですって。当時はきれいに洗濯され清潔な着物や布がとても貴重で、それをいっぱいもってお嫁入りしたようですよ」
おばあさんは洗濯物を入れ終わると、ぽんと洗濯機のドアをしめてボタンを押しました。
「その洗濯も今ではスイッチ一つだなんて、ほんとに楽になったもんだねぇ」
おばあさんも、ようやくY市での生活に慣れてきたようで、最近は毎日のように近所の図書館へ出かけていって、大好きなローマ時代のこといろいろと調べているようです。
「でも優子さん。この洗濯機はどのくらいエネルギーを使ってるのかしら。もし人間が洗濯をするエネルギーより大きかったりしたら、なんだかばちあたりな感じがするわね」
おばあさんも進くんたちの会話に影響されてきたようです。
「確か、電気代は5円くらいだったと思いますけど」
優子さんは洗濯機を買ったときのカタログに書いてあった数字が意外と小さいので憶えていたようです。
「そんなものかい。えーと、この洗濯機は500Wだから、一時間で洗濯がすめばちょうど500Whだね。1kWhが25円だとすれば、12.5円くらいかね」
「それじゃモーターが動いているのは半分くらいの時間ということかしら」
「そんなものかもしれないね」
「たしか、お父さんが1kWhは大体 860 kcal(3600kJ)といってましたから、洗濯1回ぶんのエネルギーはこの1/4、つまり215kcalということになりますね。ということは、私たちの生活エネルギー一日ぶんの大体10%ということになるのかしら」
洗濯機で洗濯一回分=0.1 eu
約8kgが洗える全自動洗濯機は約500Wの消費電力です。洗濯に一時間かかるとすれば500Whの電力を使いますが、常にモーターが回っているわけでもありません。
ここでは製品のカタログの数字を利用しました。洗濯に使われる電力の料金は1回5円前後と意外と少ない値です。ここでは1kWh=860kcalという換算をしていますが、これは純粋に計算上の換算です。一般に火力発電のときの石油から電力への変換の場合には 2250kcal=1 kWh の数字を使うようです。つまり発電効率は約40%ということになります。1 kWh の電力をつくるにはおよそ1eu のエネルギーが使われていることを覚えておいて下さい。
グラフはある家庭の実際の電力消費グラフです。やはり夏はクーラーを使うため消費量も大きいようです。ぜひ、自分の家のガスや電力などのエネルギー消費量をグラフにして、温暖化ガス削減の目標を立ててみましょう。
「そうなるね。ねえ優子さん。この洗濯物を一人で手であらう多分2時間はかかると思うわ。ところで、215 kcal というのはどれくらいの運動量なのかしら」
「たしか、散歩するときのエネルギーが1時間で160kcal だったと思いますから、一時間20分、えーと、一分間に60m歩くとするとちょうど5kmくらい歩くことになりますね。」
優子さんはお父さんの守さんのおなかが気にになっているようで、いろいろとダイエットのことを勉強しているようです。
「そういえばこれから行くO記念館へも往復それくらいの距離になりますわ」
「あら、もうこんな時間」
おばあさんが時計をみて言いました。
「そうですね。もう出かけなければコンサートに遅れます」
「では洗濯は洗濯機に任せて、わたしたちはそのエネルギーでO記念館まで歩いて行きましょうか」
と言って二人はコンサートへ出かけていきました。