「ごちそうさま」
さて、お父さんと進くんの二人がお弁当を食べ終わったようです。
電車はY市の郊外をぬけ、もうすぐ最初の停車駅にに着くようです。
「おかあさん。次の駅でお弁当のゴミを捨ててくるね」
そう言いながら進くんは、お弁当を買ってきた袋に、お茶のプラスチックの空き瓶とお弁当の容器を詰めています。
「そんな時間があるかしら」とお母さん。
「でも、きっともうごみ箱はいっぱいだよ」そう言いながらゴミを一所懸命に詰め込んでいますが、お茶の瓶が増えたせいか、袋を上手に縛ることができないようです。
「うーーん。うまく縛れないや」
「どれ、貸してごらん」
お父さんはそう言って、進くんから袋を受け取ると、ひざの上で思い切り体重をかけて、袋の中身をつぶしてしまいました。
「よし、これでいい」お父さんは上手に縛るとそれを進くんに返しました。
進くんは受け取ったゴミの袋を目の高さに持ち上げながら何か考えているようです。
「お父さん。このゴミになってしまったプラスチックはどうなるの?再利用はされるのかな?」
進くんは一度しか使っていない容器や瓶が捨てられてしまうことに疑問を持ったようです。
「そうだな、このお弁当の箱やお茶の瓶はそのまま燃やされてしまうかも知れないな。でもお前も知っているようにその時の熱でお湯や電気が作られるから、エネルギー事体がまったく無駄になるわけではないぞ」
「でも、お弁当箱を作ったときのエネルギーや手間は消えてしまうわけですよね。一度しか使わないのはやはり無駄が多いような気がするわ」
とお母さん。実はお母さんはできるだけプラスチックの容器や瓶を再利用しようと、普段はお弁当箱や瓶を捨てずに取ってはあるのですが、それも保存するスペースにも限りもあってどうしたものかと悩んでいるのです。
20gのプラスチック製弁当容器で、そのエネルギー量が石油とほぼ同じとすれば20g × 10000 kcal/kg = 200 kcal となりちょうど 0.1eu となります。
「そうだな。でも捨てずに回収して、あらって再使用したとしよう。そうするとその時の手間や洗うときの洗剤や水が必要になるだろう。そのまま捨てるのとどっちが効率的なのかは難しい問題なんだよ」
「そうね。衛生上の問題もあるし。難しいわね」
そういってお弁当のゴミ見ながら悩む三人です。
「ところで、このお弁当の容器はどれくらいのエネルギーを持っているの?」
電車が速度を落としはじめたので、ゴミ袋を持って立ち上がろうとしながらお父さんに問い掛けます。
「そのゴミの重さはどれくらいかな?」
「そうだなぁ。100g位かな」と進くん。ゴミの袋を上げたり下げたりして量っているようです。
「プラスチックはもともと石油だろう。そうするとだいたい石油と同じエネルギーを持っていることになるのじゃないかな」
「ふーん。じゃプラスチック100gというのは石油100gと考えればいいのか。ということは1000kcalになるんだね」
いままでのお話で出てきたことを進くんはよく覚えているようです。
「一食で500kcalのごみが出てしまうのね」とお母さん。
「それじゃ、今のお弁当で一日の3分の1、つまり約600kcalを取ったとしてごらんなさい。そうしたら、捨てるごみのエネルギーと食べたエネルギーが大体同じになってしまいますね」
おばあさんも驚いているようです。
進くんはごみを捨てに行きながら、このごみのエネルギーを無駄にしないように使いたいなぁと思うのでした。