水道水もエネルギーを消費している。1世帯1日当たり2eu。
エネルギーがいつも光や熱や運動のかたちで消費されていれば分かりやすいのですが、かたちを変えていつの間にか消費しているエネルギーもたくさんあります。今回取り上げる水道水もその一つです。
水道水は、
- ダムなどの水源から取水し浄水場まで導水、
- 濾過、薬剤、投入などして浄水、
- ポンプで加圧して各家庭まで配水、
といった行程を経て、ようやく各家庭の蛇口から流れ出ます。当然ながらその各段階でエネルギーを消費しています。
ランニング(運転)エネルギーの中で大半を占めるのはポンプのための電力です。電力だけを見ても日本全国の水道事業の電力使用量は約79億kwhと、100万kw級の原子力発電所1基分弱を使っている計算になります。これは必ずしも家庭消費だけではありませんが、4人世帯で割れば30w電球を付けっぱなしにしたくらいの電力です。これに加えて、薬剤生産のようなポンプ電力以外のランニングエネルギーや、浄水場建設や管路敷設などにかかるイニシャル(初期)エネルギーまで含めたあらゆるエネルギー消費を計算すると、水道水1立方メートル当たり約3,100kcalを消費していることになります。1人1日400
リットルの水道水を消費するとして、4人家族世帯で4,960kcal、つまり約2eu。ばかにならないエネルギー消費ですが、大部分の人はエネルギーを消費していると意識していないのではないでしょうか。
これに加えて、下水にも同様にエネルギーを消費していることを忘れてはいけません。下水道は、管路を敷設し、ポンプで導水し、下水処理場で浄化して放水と、順番が上水道と逆ですがやることは同じ。東京23区の統計で見る限り、電力は水道のばあい以上に消費しているようです。
日本のエネルギー需要の46%を占める業務用需要も、実際にはめぐりめぐって国民が消費している。蛇口から流れるのは水だと思ったらエネルギーでもあった。節水は省資源だけでなく省エネにもつながるというお話でした。
(資料)
統計数値:基本的に1995年。
「水道統計(平成7年度)」((社)日本水道協会、厚生省水道整備課監修)
ただし上水道事業と水道用水供給事業の数値。無効水量を含み、簡易水道・専用水道は含まない。95年度の日本全国年間給水量は約170億立方メートル。給水人口は約1億2000万人。170億÷1億2000万÷366日=約0.4(立方メートル)つまり400リットル。
「東京都下水道事業年報(平成7年度)」(東京都下水道局)。
「省エネルギー便覧」(省エネルギーセンター)。
水道のライフサイクルエネルギー試算:水道と地球環境を考える研究会編『地球環境時代の水道』(技報堂出版)。ただし30万立方メートル/日以上の規模の水道事業の場合で、発電時のエネルギーロスなどまで折り込み済みの数値。水道・下水道に関わる都市の未利用エネルギーについて考察した好著。
下水道の電力消費:東京23区(域内人口約800万人)の全ポンプ所と下水処理場の受電量は年間約6億7500万kwh。4人世帯当たり常時40wの電球を付けているくらいの電力消費になる。小型合併浄化槽を設置した場合、60〜80w(定格電力)くらい昼夜消費し続ける。こちらは下水道敷設の必要はないが各家庭でメンテナンスが必要。