昔はモノを簡単には捨てなかったので、ごみは厨芥(生ごみ)が中心でした。放置すると臭ったり、伝染病が起きる心配があり、日本ではほとんどのごみは市町村が集めて処理施設で焼却されることになりました。さらに、次第にごみ量が増えてきたことから減量化する必要が生じて、焼却施設が普及しました。昔は燃料をかけたりしてやっと燃やしていたごみも、高カロリー化のため、温度が上がりすぎないように苦労しながら燃やすようになってきました。
ゴミ発電
エネルギーを無駄に捨てているわけで、これはもったいないということから、焼却余熱で発電を行ういわゆる「ごみ発電」が近年普及しつつあります。最近建設される大型施設はほとんど発電機能が付いていると言っていいでしょう。
ごみ発電にもいろいろ問題があります。ひとつは、発電効率が低いことです。火力発電所が効率40%弱なのに比べ、普通のごみ発電は10〜15%と言われています。これは、窒素酸化物排出量を少なく、また炉を傷めずに燃やすため、燃焼温度を300℃くらいに下げていることによります。
そこで最近、「スーパーごみ発電」といって、天然ガスなどで追い炊きすることによって発電効率を20〜30%以上にする施設が出来てきています。いっぽう、不完全燃焼によるダイオキシン発生が大きな社会問題となってきたことから、燃焼温度を850℃以上に設定し、24時間運転する必要が出てきました。旧式の炉では対応できないことから、大型の新世代炉に建て替えねばなりません。1000℃近い高熱で焼却し、焼却灰も固形化してしまう「ガス化溶融炉」が次世代炉として注目されていますが、これは発電能力も高効率だとされています。
ごみ焼却炉を高熱で24時間運転するためには大量のごみが必要で、人口が少ない地域では難しい。そこで、ごみを各地でいったん固形燃料(RDF)に加工してから鉄道などで運び、集中的に燃やして高効率で発電するという方式も注目されています。
しかし、莫大な税金を投入して高性能ごみ処理工場を建て、リサイクルの努力を怠って片っ端から燃やすというのでは本末転倒です。初めから「ごみ」、という物質はありません。理想をいえば、リサイクルをすればたいていのものは何かの役に立つ。本当なら昔のように厨芥や欠けた陶器くらいしかごみは出ないはずなのです。
いま全国各地で、ごみや産廃の最終処分場設置をめぐって地域住民の反対運動が起きています。他人事と考えず、ごみを出している市民一人ひとりに責任のある問題と感じなければなりません。
屋木伸司/文
(注と出典)
- ごみの量:
- 日本全国で年間約5000万トン。ここ数年はリサイクルの進展に不景気も手伝ってか、1人当たりゴミ排出量は減る傾向にある。しかし、その約8〜9倍、4億トンも発生している産業廃棄物も我々の「ごみ」であるを忘れてはいけない。
- 余熱利用:
- 発電だけでなく、温水供給も立派な余熱利用。ごみ処理工場は迷惑施設でもあるので昔から温水プールや憩いの家、温室などの地元サービス施設併設が行われている。発電だけにこだわると効率が悪いが、温水供給を含めれば熱量の7割くらいは利用できるという。東京の臨海副都心などでは地域冷暖房にも利用。
- ごみ発電:
- 日経新聞掲載の通産省資料によれば96年度現在、全国で出力89万キロワット。(石川 禎昭『ごみ焼却廃熱の有効利用』(理工図書)によると95年現在の98年完成予想では181施設で77万キロワット。)ただし処理工場はそれ自体非常に多くのエネルギーを消費しており、発電量全部を買電できるわけではない。また、電力会社では夜間電力は余っているので昼間しか買わないなど、経済性の問題もある。
- スーパーごみ発電:
- なぜか自治省が推進している。日立造船の広告によると、その第1号、群馬県高浜発電所の発電効率は34.3%。もう「発電所」である。
- ダイオキシン:
- 発生させないためには、高温で完全燃焼させる、24時間連続運転で不完全燃焼時間をつくらない、正しい温度管理で再合成を防ぐ、などの対策が講じられている。850℃以上は新しい厚生省ガイドラインの基準。旧式の小規模炉はもう作れなくなった。
- 出典・資料)
- 廃棄物学会『改訂ごみ読本』(中央法規)同、「廃棄物学会誌」96年3号ほか各号 環境技術研究協会「環境技術」98年3号 日本経済新聞12月2日第2部