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1eu=単三アルカリ乾電池100本

一昔前までは電池といえば懐中電灯かおもちゃくらいだったのが、いまは身近なあらゆるものに入っている感じがします。どこのお茶の間にもリモコンの3つくらいは転がっているし、時計もカメラもみんな電気仕掛け。充電池も含めればカセット、CD、MD、携帯電話、電子手帳、ノートパソコンと増える一方です。今日は使い捨ての乾電池について。

乾電池は「電気の缶詰」と言われますが、電気が詰め込んであるのではなく、化学反応で電気を発生するものです。どれだけ電力が取り出せるかは使い方で大きく変化するので、「何ワット時入り」とか「何カロリー」とは書いてありません。一般に、間欠的に(休み休み)、弱い電流を取り出すとたくさん仕事してくれるようです。単三(SUM-3)のアルカリ電池(同じ形でも、値段が半分くらいなのはマンガン電池で、容量は半分以下)で、およそ3ワット時。100分の1eu。euで数える必要のないくらいの実用エネルギー量です。

乾電池1本の生産エネルギーは1eu

電池のあるおかげで電灯線の束縛から解放され、省資源になったものももちろんあるのだとは思います。しかし、製造エネルギーの0.9%しか利用できないと言われる乾電池です。使用範囲はできるだけ減らしたいもの。さらには廃棄の問題があります。数年前までは水銀が使用されていて環境汚染の不安があり、今は水銀ゼロになったとはいえマンガン、亜鉛、ニッケルといったリサイクルすべき金属のかたまりである乾電池。分別収集しているのはほんの少しの心ある自治体だけです。デポジット制度(処理費用を上乗せして販売する)を導入するなどして、より強力な有害廃棄物の分別収集を全国的に推進する必要があるでしょう。


容量:
西村昭義「改訂版電池の本」CQ出版、1992年、掲載のマクセル社製品仕様を参考にした。抵抗10オームの連続使用16時間、平均1.4ボルトとして計算。(その後性能アップしているかもしれない)
0.9%:
高月紘・酒井伸一「有害廃棄物」中央法規、1993年。原出典は「現代化学」1991.10月号掲載の村田徳治氏論文。この製造エネルギーとは使用されている金属の精錬等エネルギーであり、加工・流通・廃棄等にかかるエネルギーは含まない。まだ水銀含有の時点での試算。
回収:
自治体が回収した乾電池は北海道のイトムカ鉱業所に送られ、水銀とマンガンが再資源化されている。充電池であるニカド(ニッケルカドミウム)電池はリサイクル法で回収が求められ、業界が回収活動を行っているが、産経新聞98.8.20日付によると回収率は2割に満たない。すなわち8割方はどこかに捨てられ有害なカドミウムをばらまいている。携帯電話などでは性能のよいリチウムイオン電池にほとんど切り替わったが、処分方法はというと(一部の自主回収を除き)不燃ごみとして捨てろという。リチウムの発火性をよく知った上で、である。乾電池で水銀ゼロを実現し、いままたニカドもカドミウムを含まないニッケル水素電池やリチウムイオン電池に移行しつつある電池メーカー各社の企業努力は賞賛に値する。けれど、自主的努力ではどうしても製品開発中心になり、回収はおろそかにされてしまう。(余談だが、フロン使用ゼロは実現できても市中のフロン使用製品からの抜き取りには力が入らないのと並んで、わが国のコーポレートガバナンスの長所短所を示しているように思う。)ただし、乾電池と充電池を比べた場合、乾電池のほうが購入維持費用で12倍、ごみ処理費用で150倍もかかるという試算もあり(廃棄物学会「C&G」創刊号)、充電池を活用すること自体は環境にやさしい選択であることをおことわりしておきます。


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