|

昔むかしアポロ11号は月に行った
「僕らが生まれてくるずっと昔アポロ11号は月に行ったっていうのに」と若いロックグループが歌っていて、俺も歳になったなとつくづく思うアポロ世代であります。元SF少年としては、2000年ともなれば火星辺りまで行っているものと夢想していたら、人類はその後、地球周回より外には行かなくなってしまいました。それでも大リーグ野球を衛星放送で観て、車にはGPSカーナビがついてと、確実に商業利用は身近になりました。宇宙開発の恩恵には確実に浴していると言えるでしょう。
さて有人宇宙ロケットといえばスペースシャトル。
スペースシャトル、エンデバー号から毛利さんが「かけがえのない人類のふるさと地球を眺めながら、今後は地球環境問題の解決に尽くしたい」とのメッセージを送ってきました。人類が宇宙へ行くことの素晴らしさは、人類が自分のふるさとを再発見することかもしれません。
シャトルを宇宙に運ぶエネルギーは15万eu
シャトルが発射台から飛び立つ姿を思い出すと、ロケット型の赤茶けた大きな筒に、飛行機型の本体(オービター)がセミみたいにとまっていて、両脇に白塗りの細いロケットが2本ついています。大きな筒は燃料タンク(ET)で、液体水素103トンと液体酸素616トンが入っていて、宇宙船本体のお尻についている3つのメインエンジンで燃焼します。2本の細いのは固体ロケットブースター(SRB)で、中には固体燃料が各502トンずつ詰まっています。
固体燃料は、過塩素酸アンモニウム(酸化剤)70%とアルミニウム粉末(燃料)16%をブタジエン合成ゴムで練って固めたものです。離陸時の推進力の7割方はSRBが生み出しています。SRBは2分ほどでシャトルを地上46キロくらいまで持ち上げるのに寄与してから切り放されてパラシュートで海に着水し、回収して何度か再利用します。
その後シャトルはメインエンジンだけで加速し続け、発射9分弱でETは切り放されて使い捨てになります。シャトルはさらに本体に多数ついている小さいエンジンで姿勢制御や軌道修正を行い、晴れて人工衛星となります。こうなれば燃料なしにいつまでも地球を回っていられます。
宇宙開発事業団によると、スペースシャトルの液体燃料タンク内の液体酸素と液体水素の反応によって生ずるエネルギー(発熱量)は、酸素16g当り68kcalほどで、タンク内の酸素の量(617t)によって計算しますと、約27億kcalになります。さらに、固体燃料のエネルギー(発熱量)が液体燃料の約10分の1ありますので、スペースシャトルが軌道到達するまでにかかるエネルギーは合わせて30億kcalほどになります。
これを環境単位(eu)であらわすと150万eu。150万人分の食料エネルギーにあたります。なお、地球の重力に対してシャトルを300kmの上空まで運ぶ位置エネルギー計算によると約1/10の15万euとなります。現在のロケットエンジンの燃焼効率は、約10%程度であることが分かります。なお、乗用車のエネルギー効率が15〜20%、SL(蒸気機関車)の効率が5〜8%と言われていいます。
次世代の宇宙航空機スペースプレーンの開発が始まった
ロケットが人工衛星になるためには、秒速約8キロ(第1宇宙速度)というスピードにならなければなりません。スペースシャトルは低軌道ですが、静止衛星(地上3万6千キロ)を打ち上げたり、地球を離れて月に行こうとすれば秒速11キロ以上(第2宇宙速度)のスピードが求められます。このように宇宙ロケットは、人類の手持ちの技術や材料と、地球の重力や大気の条件とを考えると、ちょうどぎりぎり宇宙にたどり着けるくらいのところにあります。ぎりぎりの線だからこそ、3段式にしたり、補助エンジンをつけたりして、ようやく宇宙にたどり着くのです。
コンビニを現代社会の象徴と考えるとき、無駄をなくし効率を追求するその姿勢は、生活の環境問題の解決にも手がかりを提供するものかもしれません。
もっと多くの人が宇宙にいくためには、次世代の省エネ型新技術が必要です。日本でも、空港から離陸し空気を有効に利用して効率良く宇宙まで到達して再び地球に帰還することができる完全再使用型の宇宙航空機スペースプレーンの開発が始まっています。
屋木伸司/文
- 資料・協力
-
宇宙開発事業団 www.nasda.go.jp/
ケネディ宇宙センター www.ksc.nasa.gov/
岩崎信夫「図説宇宙工学概論」丸善プラネット、1999年
(財)日本宇宙少年団編「スペース・ガイド1999」丸善、1999年
|