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燃料電池は化学的発電装置

21世紀は「水素の時代」と言われています。その担い手は燃料電池です。燃料電池は、水の電気分解の逆の化学反応を利用、水素を空気中の酸素と反応させて電気と熱水を発生させる大変クリーンな発電機です。その上、発電効率が高く理論的には水素のエネルギーの8割以上が電力として取り出せるそうです。水素1kgで電力約40kWh。環境単位では17eu、人ひとり17日分の食料エネルギーに相当します。

その原理は19世紀半ばに考案されていましたが、実用化されたのは20世紀後半で、米国の宇宙船に積まれました。船内用電力を発生した上、飲用水も作り出します。燃料電池はその後、発電・コジェネレーション用装置の開発が進んできましたが、ここへきてさらに小型化し自動車用と家庭用に使えるのではないかということで、その将来性に期待が高まっています。


その特長と将来性

火力発電では、燃料を燃やす、つまり熱エネルギーを発生させて、タービンを回す、つまり運動エネルギーに変換し、さらに発電機で電気エネルギーに変換します。この各段階でエネルギーロスが生まれ、もとの燃料のもつ燃焼エネルギーの4〜5割しか電気に変換できません。

燃料電池は燃料からダイレクトに電気エネルギーを取り出すのでエネルギーロスが少なく、したがって発電効率が高く、温水まで利用できれば理論上は100%近いエネルギーが無駄なく役に立てられるそうです。炭素がないから二酸化炭素も生まれないし、硫黄分がなければ硫黄酸化物も出ない、そして燃やさないから窒素酸化物が生じない、とてもクリーンな発電が可能です。運動系がないから振動や騒音もほとんどありません。さらには、単に効率がよくてクリーンなだけではなく、水素をクリーンに生産できれば石油など限りある地下資源に頼らなくてもいいことや、小型化が進めば電力の地域分散化が可能になるなど、様々な面で理想的な未来社会の実現に直結するところが注目されているのです。


自動車用と家庭用に導入されると

燃料電池車は夢のゼロエミッション・カー(有害排ガス無排出車)です。世界で年間5000万台も生産される自動車だけに、実用化されれば量産効果でコストダウンが期待できます。すでに2001年2月から日本でも公道を試験車が走っていて、メーカー数社は2003〜04年には市販すると宣言しています。

水素は宇宙ロケットの燃料にも使われているように、重量当たりの熱量が最も大きい物質です。1kgで約40kWhの電力に相当します。60グラムで1euです。そのいっぽうでは最も軽い物質でもあるので、液体水素でも1kgが14リットルもの体積になります。同じ重量を自動車に積もうとするとガソリンの10倍の燃料タンクが要ります。密閉が難しく爆発性もあるなど、取扱に難点があります。

世界の自動車メーカーは、水素吸蔵合金など安全に水素を積む方法を開発するのに並行して、取扱の容易なメタノールやガソリンを積んでそこから水素を取り出して走る方法にも取り組んでいます。これだと二酸化炭素は少し出るにしても、メタノールは天然ガスや廃棄物などからも作り出せるし、ガソリンなら現在あるガソリンスタンドで扱えるので新たなインフラ整備の費用が少なくて済むなど、それぞれメリットがあります。

一方、家庭用燃料電池は、天然ガス(都市ガス、成分はほとんどメタン)が近道です。いま湯沸かしに使っている都市ガスで、電気も自給できるというわけです。最初はマンション規模でとか、オフィスビル、コンビニあたりから導入し、いずれは一家に一台になっても不思議はありません。そうなると、電力会社はバックアップサービス会社になり、遠くの巨大な発電施設や送電線は要らなくなります。

期待しすぎてもいけませんが、現実的でしかも社会を変える可能性があるこの技術開発競争、目が離せません。「最近、空がきれいになったね」いう時代が、案外早く来るかも知れませんね。 (屋木伸司/文)




注1:参考資料
平田賢監修「PEM・燃料電池入門」環境新聞社
清水和夫・平田賢「燃料電池とは何か」NHKブックス
駒橋徐「燃料電池革命」日刊工業新聞社、ほか

注2:参考ウェブサイト

新エネルギー財団の燃料電池のページ
http://www.nef.or.jp/what/whats08.html
初心者向けイラスト解説。

燃料電池開発情報センター
http://www.fcdic.com/
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