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不思議の科学
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ウソのようなホントの話
宙に浮かぶゆで卵

 
身近に潜む「なぜ?」を突き詰めていくことが
科学の新しいページを開きます。回転するゆで卵に
着目した研究者が発見した驚くべき事実とは?
 
生卵と比べて、ゆで卵は重心が安定しているので、テーブルの上で回転させた時によく回ることは、皆さんご存知の通りです。では、ゆで卵を思い切り早く回転させると、「ほんの一瞬だが、宙に浮く」と言われたらどうでしょう?「それはいくら何でも?」と思うかもしれませんが、実は科学的に実証された事実なのです。

ゆで卵を高速で回転させると重心が上がり、自然に「立ち上がる」現象があります。ではなぜそうなるのか? この現象の謎を解くために、慶応大学の下村裕教授とケンブリッジ大学のH・K・モファット教授が共同研究を行いました。その結果、ゆで卵が立ち上がる仕組みが解明されると共に、「毎秒30回以上回転させた場合に、一瞬だけ宙に浮く」という予測がなされたのです。
ちなみに、宙に浮いているのは、時間にして最大約0.1ミリ、時間にして0.02秒以下なので、本当に一瞬の出来事です。
この研究は、科学雑誌「ネイチャー」にも発表され、大きな話題になりました。

しかし、これはあくまで「理論的にはそうなる」という話ですので、実際に試してみる必要があります。これに挑んだのが、神戸大学海事科学部構造強度シミュレーション工学研究室の西岡俊久教授らのグループです。その名も「プロジェクト・エッグス」です。
西岡教授らは、コンピュータシミュレーションを駆使して、ゆで卵の数値モデルを解析。100万の1秒ごとの卵の振舞いを詳細に分析していきました。
その結果、下村教授とモファット教授の予測が正しいことが検証され、洋梨のような物体も毎秒30回以上回転させることで、同様に宙に浮くことがわかりました。なお、手だけで毎秒30回転は無理なので、特別な装置を使っています。

そしてさらに、「アルゴンパルスレーザー連動超高速度ビデオカメラシステム」を用いて、実際に「ゆで卵が浮いている証拠写真」の撮影にも成功(本当に浮いています!)。浮遊時間は、0.02秒とのことで、これも下村、モファット両教授の予測と一致していました。

「じゃあ、これが何の役に立つの?」という人もいるでしょうし、この研究からSFに出てくるような反重力装置が開発できるわけではありません。しかし身近な現象に潜む「なぜだろう?」という疑問から、そのメカニズムを研究・解明する−−これこそが科学の醍醐味です。「ニュートンとリンゴ」の逸話からもわかるように、そうやって人類は科学を発展させてきたのですから。
icon 慶応大学の下村教授のインタビュー記事

icon 神戸大学のサイト(卵が浮いている写真が見られる)
 
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