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不思議の科学
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ニコラ・テスラって誰?

大衆をワクワクさせた科学者たち

 
20世紀を目前に控えたアメリカで
エジソンと並ぶ天才発明家として知られた男が
華麗な実験ショーで人々を魅力していた。
 
現代の最先端科学は、一般の人には容易には理解できないレベルになっています。ニュースで「ノーベル賞クラスの研究成果」と報じられて、解説記事を読んでも「どこがどう凄いのか」さっぱり分からないことの方が多いのではないでしょうか。
特に基礎研究分野の成果は、それが具体的な製品として実用化されるまでに時間がかかります。現代生活に欠かせないパソコンやインターネット、携帯電話にデジタル家電なども、長い年月と多くの研究者たちの地道な努力が基盤となっているのですが、一般にそれを理解してもらうのは難しいことです。いわゆる「理科離れ」も、科学の分かりにくさが原因なのかもしれません。

しかし時代をさかのぼると、先端科学をエンターテインメントにして、観客を魅了していた発明家がいました。その名はニコラ・テスラ(1856-1943)。かの発明王エジソンの最大のライバルにして、今現在使われている「交流電源」を発明した人物です。
彼は講演という形で、自らの発明の成果を披露することで当時大変な人気を博しました。

燕尾服に白ネクタイという服装で壇上に立ち、今でいう蛍光灯の原形と言える装置を手に、「これはただのガラス管で、中の空気を少し抜いてあるだけです」「こうして手に持っているのですが、高圧の交流が流れている線に体が触れますと、手にしたガラス管が鮮やかに光ります。これをどこに置こうと、空間のどの場所へ移動させようと、手が触れているかぎりは、ソフトでここちよい光は、輝きを少しも減じることはありません」と、見事なショーマン振りを発揮します。今では何ということもない内容ですが、当時まだ珍しかった人工の光が作り出す「魔術」に人々の目はくぎ付けになりました。そして、それを巧みに操る若き天才科学者テスラは一躍時の人となったのです。テスラと親交があった作家マーク・トウェインも彼の研究室で「電気の魔術師」振りを目の当たりにしていました。

テスラが活躍した19世紀末から20世紀にかけては、アメリカで産業文明が花開き、社会全体が新世紀の豊かさに向けて走り出していた時代。科学技術は輝かしい未来の同義語でした。テスラやエジソンが次々に生み出す発明品は、大衆をワクワクさせてやまず、「センス・オブ・ワンダー」の象徴だったのです(例え、その原理が理解できなくても)。

21世紀の今、私たちは手放しで科学を礼賛することはできませんが、必要以上に科学を忌避する必要もありません。人類が抱える様々な問題を解決するのもまた、未来を志向する科学がもたらす力なのですから。
icon 参考文献:マーガレット・チェニー著『テスラーー発明王エジソンを超えた偉才』(工作舎)
 
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