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ウェブの「ホームページ」が登場する少し前、インターネットがまだ一般の人にとって馴染みのない学術系のネットワークだった90年代の初め、国内のネットユーザー達にずいぶん重宝がられたサイトがありました。気象衛星「ひまわり」の観測画像が数時間おきにアップデートされるサイトです。それを始めたのは気象庁でも日本気象協会でもなく、国立がんセンターの一人の研究者。彼はまったくのボランタリーで気象協会から画像をもらいうけ、自分で運用しているサーバーを使って発信し始めたところ、またたく間に人気を集めていったのです。
いかにもインターネットの黎明期らしいエピソードといえますが、今ではテレビや新聞と同じようなフォーマットの天気予報や気象情報を流すサイトも多数あり、こんな話は単なるノスタルジアなのかもしれません。 ですが、キレイに整理された情報よりも、粗削りの生データにこそ、地球という生きたシステムへの想像力を喚起させてくれる場合もあります。天気予報のようにある一定のフォーマットに収まって提供される情報ではなく、加工されないままリアルタイムに近い形でアップデートされるデータからは、この惑星全体を覆っている「つねに流動する大気」という、壮大な現象へのリアリティを呼び起こしてくれるような気がします。 そもそも、気象観測という分野はその性格上、インターネットと同じようにグローバルでボーダーレスな取り組みです。なにしろ、地球の大気には国境がありません。そのダイナミックな変化をとらえるためには、一つの国の中だけで観測していても無意味です。各国が観測データを共有し、協力しながら観測を進める必要があります。このため、WMO(世界気象機関)のもとで国際的な協調体制や研究計画が決められているわけです。インターネットは、こうしたグローバルな気象観測を進めるうえで非常に有益なツールとして機能しています。 今回ここで取り上げた多くは、衛星からの画像データを公開するサイトです。1960年、最初の気象衛星が打ち上げられて以来、その画像は天気予報の精度向上や地球規模での気象変動の解明などに役立ってきました。 現在では、世界気象監視計画の取り決めによって、地球全体をカバーできるよう、各国が協力して気象衛星を打ち上げ、運用しています。赤道上空の静止軌道(高度約3万5800km)には、アメリカ・欧州・日本・ロシアが等間隔で衛星を配置(最近ではこれにインド、中国が加わろうとしています)。また、北極・南極をめぐる極軌道にも、米・露の気象衛星が1機ずつ配置されています。 これらの衛星から時々刻々と送られてくる画像データは、正確な天気予報を行うために不可欠な情報として世界各国の気象観測機関で活用されているほか、ここで紹介しているサイトにみられるように一般向けにもインターネットを通じて公開されているわけです。 それにしても、自分たちが住んでいるこの惑星を、居ながらにして「外から」眺めるのは、何とも不思議な気分ではないでしょうか。 |
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