1章を読まれて少しは導電率のことが理解できたでしょうか。読んでおられて自分の身近にある水の導電率ってどれくらいかな?と思われた方もおられるでしょう。2章では具体的な導電率についての測定および測定値を紹介します。
水道水や川や水といった我々の身の回りにある水には、いろいろなものが溶け込んでいるため、化学的には純粋な水(

)ではありません。もちろん我々が日常使うにはそれで構わないのですが、科学研究や産業技術の上ではもっと高純度の水が必要となってきます。
さて電解質を含む水からどんどん電解質を取り除いて純粋な水にしていくと、どんどん導電率は小さくなっていきます。もしも電解質を全部取り除いたとしたら導電率は0になるのでしょうか?答えはNOです。というのは水の分子自体がほんのちょっと(5億個に1個くらい)だけ、水素イオン(

)と水酸化物イオン(

)とにイオン化します。このtき、理論的には25℃で0.0548μS/cmの導電率になります。
現在、半導体産業で超LSIの製造に使われている水の導電率は0.06μS/cm以下で、とても純度の高い水です。こんな水を超純水といいます。超純水レベルにまで行かなくても脱イオン処理をして、導電率を1μS/cm程度以下まで下げた水のことをイオン交換水とか、脱イオン水といいます。ふつう純水といえば、このレベルの水のことを指します。水が空気に触れると、炭酸ガスが溶け込み1μS/cm程度導電率が上がりますが、純水レベルになると、こうしたことも導電率に影響を与える因子になるのです。
“酸性雨”――この言葉は今ではすっかり市民権を得てほとんどの人が知っておられると思います。しかし、言葉は知っているが内容はわからないという人がほとんどというのも現状でしょう。
それでは、どのようにして雨が酸性雨となるかお話ししましょう。
雨とはもともと川や海の水が蒸発し、雲となってふたたび地上に降るわけですから、いわば蒸留水であり中性(pH7)で導電率も純水に近いものです。しかし、大気が二酸化イオウ(

)や窒素酸化物(

)で汚染されていますと地上に降る前にオゾン(

)や過酸化水素(

)との酸化反応等により

や、

となります。これらが雨の中に含まれ、地上に降るわけです。

、

は皆さんも聞いたことがあると思いますが、硫酸と硝酸です。こんなものが空から降ってくるわけですから、たまったものではありません。直接頭にかかったらハゲるかもしれません。まっ、これはオーバーかもしれませんが、いずれにせよ酸性雨に直接かからないにこしたことはありません。(桜島の噴火でpH2.5、導電率1640μS/cmという報告もあります。)
酸性雨の定義はあまりはっきりはしていませんが、一般的にpH5.5〜5.6以下の降水を酸性雨と呼んでいます。しかし、pHだけではその雨の中に含まれる汚染成分の量がわかりません。pH5で導電率50μS/cmの酸性雨もあればpH5で導電率100μS/cmの酸性雨もあるわけで、当然100μS/cmの酸性雨の方が汚染されているわけです。また導電率が10μS/cm前後の汚染成分の少ない雨の場合、pH測定は安定しにくく、雨以外の影響でpH5前後を示す場合もあります。このように酸性雨の測定には、まず導電率測定を行ない雨の汚染程度を確認し、pH測定されることをおすすめします。
日本では、1973年に皮膚や目の痛みを訴えた「酸性雨」の事件が発生し、特にキリ雨などの弱い降雨時によく発生しました。
一方、ヨーロッパや北米を中心に森林の大規模な枯死と酸性雨の関係がクローズアップされ現在では地球規模での酸性雨の慢性的な影響についての調査が始められています。
季節や場所によって、水道水がかび臭かったり、カルキ臭かったりした経験をお持ちの方も多いかと思います。水道水は湖や川の水を浄水場で浄化し、滅菌用に遊離塩素を加え一般家庭用に送られます。このため元になる水によって、味に影響をうけます。ですから元の水がきれいなほど、また上流ほど水道水がおいしい場合が多いようです。それではほとんど不純物の入っていない純水はおいしい?答えはNOです。なにも入っていないから“味気無い”ものです。人間がおいしく感じる水は、やはり自然の泉から湧き出た水であり、昔からおいしいといわれたおいしい水やミネラルウォーターが各社から売り出されているわけです。(ミネラルとは、カルシウム、マグネシウムやナトリウム、カリウム、鉄など水に溶けている鉱物質をいいます。)
そこで厚生省で決められたおいしい水の条件を紹介します。
導電率を測った場合、水道水と自然水とでは得られた結果から考えられることは、逆の場合が多く、水道水は導電率が大きいと塩素等の水をまずくする成分が多いということであり、自然水は水をおいしくするミネラル等が多いということです。(参考までに水道水は100〜200μS/cm、おいしい水は400〜700μS/cm程度が多い。)おいしい水を作るため、家庭用浄水器がいろいろと売られています。活性炭で塩素等をとるものや、炭酸カルシウムでカルシウムを溶出させるもの等いろいろありますが、そのシステムさえ理解していれば、浄水器を通す前と後の導電率を測ることで浄水器がうまく働いているかどうか知ることができます。