いろいろな分野でのpH測定

火力発電所の大型ボイラをはじめ、すべてのボイラでは、給水系統の腐食防止のために、給水のpHは8以上のアルカリに保たれています。また、ボイラ水も、腐食防止のためにアルカリに保たれていますが、あまりアルカリに傾くと、カ性ゼイ化といってカルシウム分がボイラに付着する現象が起るので火力発電所の慣流ボイラではpH9.4くらいに保たれています。
高性能・高効率のボイラが普及している今日、ボイラの水に対する要求が厳しくなっており、ボイラ給水・ボイラ水のpH管理は、電力分野だけでなくあらゆる分野で行なわれています。
ガス分野では、ガスのカロリーをあげるためのガス混合工程で、タンク、パイプなどの腐食防止のために、液化ガス中の水分のpH管理を行なっています。

医薬・化粧品では、その製造工程で、化学反応のチェックにpHを測定しています。溶液のpHによって反応のスピードが変わりますし、pHを知ることで、反応のエンドポイントもわかります。
例えば、ペニシリンなどの抗生物質やビタミンの製造では、発酵工程でpHをコントロールし、高い収率と無菌性を維持しています。
また、医薬・化粧品は、体内に入れたり、肌に塗ったりするわけですから、なにより厳しい品質管理が必要です。
化粧品では、肌と化粧品のpHに大きな差があれば、皮膚障害の原因になりますし、医薬品では、pHに異常があれば、“薬も毒に変化”ということが予想されます。

pHは水棲動植物の生活に大きな影響をもっており、漁場や、のり、真珠、はまち、うなぎなど養殖漁場の水質測定の重要な測定項目になっています。とくに、養殖漁場の選定のひとつの目安として、また、漁場や養殖魚などに何らかの異変があった場合に、まずpH測定が行なわれます。この他、中央市場などでは、各漁場から届けられた魚の新鮮度チェックのためにpH測定を行なっています。

さまざまな食品の中で、最もpH測定が重要なのは、パン・酒・ビール・醤油・味噌・チーズ・乳酸飲料など、酵素作用を利用して製造する食品群です。というのは、酵素の働きは反応溶液のpHに影響され、それぞれ一定のpHにおいて、最も効率よく発酵が行なわれるからです。
一般の食品の場合、pH測定は“味”と“安全性”に関連して行なわれます。
食品には、それぞれに最も望ましいpH値があり、このpH値より異常に高くなったり、低くなったりした時には、その味がそこなわれ、同時に、異物の混入など安全性に問題のあることが予想されるのです。各食品メーカーでは、おいしくて、品質の均一な食品をつくるためにpH測定を行なっています。

植物の生育とpHとは密接な関係があり、植物には、それぞれに、その生育に適したpHがあります。
農業関係では、農作物の増産・育成管理に、土壌、農業用水などのpH測定が重要になっています。
また、最近、盛んに行なわれている水耕栽培でも、培養液のpH測定は不可欠です。畜産関係では、畜産研究所などで、家畜の血液、飼料pHを測定し、家畜の健康、成長との関係を研究しています。
その他、人工受精の研究のために精液のpHを測定したり、食肉や鶏卵の新鮮度テストにもpH測定を行なっています。
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