いろいろな分野でのpH測定

浄水場では、河川や湖からとり入れた水を塩素殺菌したり、凝集剤を加え沈澱ろ過したりしますが、この時、塩素や凝集剤に適した水質にpHをコントロールしています。
もちろん、各家庭や工場へは、この水にアルカリを加え、中性にし、*飲み水や工業用水に適した水として供給しています。また、下水処理場では、水処理の各工程、処理後の放流時にpH測定を行なう他、活性汚泥法の汚泥のpH調整(バクテリアの働きに適したpH)、界面活性剤による泡の発生の処理などに、pH測定が行なわれています。
*上水の場合は、水道法によりpH5.8〜8.6の基準値が定められています。

医療機関では、試薬の調整にpH測定を行なっていますし、医療研究や健康診断、治療の目安として、血液、胃液、尿など体液のpH測定も行なっています。
また、歯科大学の研究室では、虫歯の研究にpH測定を行なっています。食後5分たつと口の中のpHが下がりはじめ、pH5.2以下になると、歯を溶かしはじめることがわかっています。
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胃の中の電極
アクティブな状態にある胃液のpH測定には、超小型の消化器用複合pH電極が使用されます。
胃、十二指腸中に挿入の実測例
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生体とpH
胃液(1.5〜2.0)
皮膚(4.5〜6.0)
腔分泌液(4.4〜5.6)
十二指腸液(5.0)
尿(4.8〜8.0)
唾液(5.0〜7.5)
化膿液(6.0〜6.8)
汗(7.0〜8.0)
涙 (7.2)
小脳液(7.3〜7.5)
母乳(6.6〜6.9)
血液(7.42)
腸液(7.7)
子宮液(8.0〜8.8)
睾丸液(8.3)
膵臓液(8.0)
精液(8.9〜9.5)
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工場排水などによる水質汚濁が問題になり、すべての工場で、厳しい排水管理が行なわれています。
現在では、各地方自治体が独自の水質基準を定め、規制を行なっていますが、pHは、これら水質基準の重要な測定項目になっています。
pHは特定の汚染度を示すものではありませんが、水棲生物の生活などに密接な関連があり、異常なpH変化の結果として、塩類化合物などの沈殿が起こり、水が濁ったりするのです。
また、各工場では、排水の水質規準を守るために、廃水処理を行なわねばなりませんが、この工程でもpH測定は重要です。例えば、メッキ工場では、廃液中のシアンやクロムを処理する場合、処理液のpHが処理効率を大きく左右します。

印刷分野の中でも、最も多く使われている「オフセット印刷」において、湿し水管理は非常に多くの要因があり複雑となっています。
中でもpHの調整は、印刷インキの乾燥状態、印刷画像の色調、鮮明度に大きく影響するため重要な項目のひとつです。


現代は科学捜査の時代です。警察の鑑識課では、証拠物件の鑑定や確実な死亡時刻の割り出しなどのために、pH測定を行なっています。あの下山事件(昭和24年7月、下山国鉄総裁が、れき死体で発見された事件)も、その当時に精度の高いpHメータがあれば、現場の血痕から、死亡時刻の推定ができ、真相が究明されただろうと言われています。

消費者が安心して商品を買い、使ったり、食べたりできるように、百貨店の商品試験室や消費者センターでは、商品の品質チェックを行なっていますが、衣料品の染色堅ろう度テストや、食品の新鮮度テストでpH測定を行なっています。

植物生理学の分野でもpH測定は不可欠です。例えば、品種改良の実験や花色変化の研究などでpH測定が行なわれています。

流行のヘアーデザイン。その美しいウェーブ効果を出すのがコールドウェーブ液です。美容院では、髪質やウェーブの種類によって、コールド液のpH調整を行なっています。

芝がはえそろった目のさめるようなグリーン。こんなゴルフ場でこそナイスプレーが期待できます。芝をベストの状態に保つために、グリーンキーパーは、土壌のpH測定を行ない、必要な手当をほどこしています。

皮膚の色、鮮明な花びらの赤、空の青…こうした色を的確に再現するためには、現像液の調整が重要な仕事。例えば、ネガカラーの場合、数ある現像工程ではpH3〜12まで、それぞれ現像液のpH値が違います。カラー現像はデリケートですから、わずかなpH値の違いで、発色が微妙に変わってくるのです。

「飲みすぎ・食べすぎに胃腸薬」「頭が重いと頭痛薬」「歯が痛いから鎮痛剤」「健康管理にビタミン剤」。私たちの生活に薬品はなくてはならないものです。
これらの薬品は薬局で調合、品質管理が行なわれています。ここでもpHメータがこれらの管理に使われています。
現在「日本薬局方」にて、各薬局にてpHメータの設置が義務づけられており、より完全な品質が保証されています。

ピカピカの窓から晴れた青空、鏡のようなオフィスのフロアー、これでこそ仕事の効率も向上するというものです。しかしせっかくのワックスがけも、はく離剤や洗剤等のアルカリ性分を完全に取り除いておかないと、その輝きがうすれてしまいます。
このように日常の生活の中でもpH測定が重要な要因となっています。

プールの水管理には残留塩素濃度とpH値が重要な項目です。
このように、pH測定は実にさまざまな分野で行なわれており、ここで、そのすべてをご紹介できないほどです。
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