はかる場 » 単位のキホン http://www.jp.horiba.com/hakaruba はかる場」とは、「はかる」ことで「見える」ようになる世の中のアレコレを紹介するメディアです。 Thu, 19 Nov 2020 04:47:00 +0000 ja hourly 1 http://wordpress.org/?v=3.5.1 単位のキホン[2] 7つの単位が最初の分析機器 https://www.jp.horiba.com/hakaruba/archives/180/ https://www.jp.horiba.com/hakaruba/archives/180/#comments Wed, 19 Jun 2013 04:10:11 +0000 遠藤英之 https://www.jp.horiba.com/hakaruba/?p=180 「はかる」ことの基本となる、単位。前回はそのはじまりをたどりました。暮らしを形作る「時間」をはかることから生まれた12進法はそのまま時間をつかさどり、現代を生きる私たちの生活にも受け継がれています。

一方で、一般的なモノのはかり方において採用されているのはほとんどが“10進法”。今回は10進法に起源を成す、現在の私たちの暮らしを支える単位の基礎となる、7つの基本の単位についてお話しします。


世界基準を定めた“メートル法”

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1年=12か月、1日=24時間ではかる時間、円を360度と定義した角度。今ではこの二つの単位でのみ12進法を基準としていますが、現在使われている単位のほとんどはフランス革命のときに誕生した、10進法の“メートル法”を世界基準としています。世界共通で使える統一の単位制度の確立をめざし、制定されました。ちなみにこのとき、時間の10進法も提案されましたが、評判が悪く定着しなかったという事実も残っています。

メートル法の基本は「子午線」と「水」です。長さの基本となる1メートルは、地球の北極点から赤道までの子午線弧長の1000万分の1の長さで定義されました。重さの基本、1グラムは1センチ立方で摂氏4度の水の重さ。温度に関しても同様に、摂氏1度の目盛りは、水の沸点と融点を100等分したものと定められています。「メートル」の名は、ギリシア語のメトロンやラテン語のメトラムが起源で、「はかり」や「測定」を意味します。グラムはラテン語のグランマで、「小さい重さ」という意味があります。


基本の単位はたったの7つ

国際キログラム原器

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メートル法が基準となって以来、技術や産業が発展するにつれ次々に新たな単位が生まれてきましたが、その分大きな混乱も生じました。そこで1960年に「国際単位系」(略称SI)が制定されました。その基準となったものは7つ。長さ(メートル)・質量(グラム)・時間(秒)・電流(アンペア)・熱力学温度(ケルビン)・物質量(モル)・光度(カンデラ)です。

あまり耳馴染みのないものもあるかもしれませんが、この7つの基本単位で、ほかのさまざまな単位を定義づけすることができます。たとえはラジオの周波数はヘルツという単位であらわされますが、ヘルツは時間を用いて説明できますし、私たちの食事にかかわるカロリー(熱量・ジュール)も、熱力学温度を基準にはかることができます。

また、単位にはその大きさをあらわす接頭語が存在します。大きなものから小さなものまで20種類ほど定められており、たとえばインターネットをする人なら「ギガ」「テラ」という言葉に聞き覚えがあるかと思います。これらは「巨人」「怪物」といった大きいモノをあらわすギリシア語が起源です。ニュースなどで耳にすることもあるでしょう、「ナノ」「ピコ」はラテン語が起源で、それぞれ「小人」「キツツキ」を意味し、小さな単位の接頭語となっています。

分析の世界では「ppm」「ppb」という言葉がよく使われます。どちらもパーセントの変形で、「セント」が100分の1をあらわし、「センチュリー」が100年のことであるように、「パーセント」は100分の1。「ppm」の「pm」は「パーミリオン」、すなわち100万分の1、「ppb」の「pb」は「パービリオン」、すなわち10億分の1を意味します。いずれも最初の「p」はパーツ(部分)を意味するので、物質の微妙な濃度などを表現するときなどに、よく使われています。これらは単位ではありませんが、それぞれ大きさや長さ、重さなどを持つ分析対象をはかる際の物差しになります。


単位が最初の分析機器

単位を生み出し、その基準を定めたことによって、私たちの生活はとても便利になりました。スーパーで牛肉を買う時は、グラム数が表記されているので、それを目安に買い物をすることができますし、道路を自動車で走る時は、制限速度が決められていることで、一定の秩序を保って通行することができるのです。

私たちはさまざまな機器を用いてあらゆるものをはかってきましたが、もしかすると単位が最初の分析機器なのかもしれません。これから「はかる場」で紹介する記事でも、さまざまな単位が登場します。そのひとつひとつに意味があり、それらを理解することで、日々の生活がより便利に、楽しくなるといいですね。単位のキホン、前後編でお送りしました。

 

>>前編はコチラ

 

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単位のキホン[1] 最初にはかった単位とは https://www.jp.horiba.com/hakaruba/archives/171/ https://www.jp.horiba.com/hakaruba/archives/171/#comments Wed, 19 Jun 2013 04:00:14 +0000 遠藤英之 https://www.jp.horiba.com/hakaruba/?p=171 kihon1_sub_1

2013年5月23日、冒険家の三浦雄一郎さんが、世界最高齢の80歳でエベレスト登頂に成功しました。輝かしいニュースに日本中が湧いたのは、記憶に新しいところです。

エベレストといえば、標高8848メートル、山頂は気圧が地上の1/3(およそ0.3気圧)、気温は一番暖かい時期であってもマイナス17度ほどと、世界でもっとも過酷な環境の1つとして知られています。今でこそ標高、気圧、気温などを事前に知ることができ、さまざまな情報があるからこそ、今回の三浦さんのように万全の対策を講じたアタックが可能になりました。しかし、このような情報がなかった時代は、今以上に困難なチャレンジであったことは想像に難くありません。

エベレストのような過酷な環境だけでなく、単位は私たちの日々の暮らしに密接にかかわっています。天気予報や乗換案内、外出時に必ず確認する情報も時間や距離といった単位がベースにありますし、外出先で買い物をすれば、重さで決められたモノに対して対価を支払うこともあるでしょう。単位とは、すべての“はかる”ことの基本であり、私たちの生活基盤でもあります。

ここでは、普段何気なく使っている単位のキホンに迫ります。まずは、単位の始まりをひも解いていきましょう。


最初の単位は“時間”だった?

Pyramids at sunset

私たちは、日々の生活で多種多様な単位を用いて暮らしています。長さや温度だけでなく、重さ、時間、密度など、ありとあらゆるものが基準として単位を持っています。

こうした単位がいつごろ誕生して、どのように広まっていったのか。その起源にはさまざまな説があります。たとえば洋の東西を問わず、長さの単位は、“一歩の歩幅”や“両手を広げた長さ”など、人間のからだを基準としていました。当然個人差はありますし、民族によっては個体差もあるでしょう。狩猟の対象だった動物たちも、小さな単位の代わりを果たしていたかもしれませんね。

しかし、最初にうまれた単位は“時間”であったという説があります。古来より、人間にとって時をはかることが、生活とは切り離すことができないものだったからです。


今も残る“12進法”というはかり方

古代エジプトで天文学が発達したのは、農業における種まきや収穫のタイミングを決めるためでもありました。太陽の動きから1年365日の長さが知られていましたし、月の満ち欠けによって1カ月の長さが決められました。現在使われている単位のほとんどが、10進法を採用しているのにも関わらず、時間だけが12進法を基準にしているのは、1年の長さが12カ月であることに由来しています。このことひとつとっても、時間という単位がいかに人々にとって重要なものであったことがわかるでしょう。

古代中国でも円周を12等分し、時間と同様に十二支を割り当てていました。日本でも「草木も眠る丑三つ時」という言葉がありますが、このことからも日本での時間の概念が古くから、12進法だったことがわかります。

時間のほかにもう1つ12進法を用いている単位が、“角度”です。角度の起源は古代バビロニア。太陽が星の間を縫って1周する時間が365日であることに気がついたバビロニア人が、天空を365等分しようとしたことに始まります。365は半端なので360にしたということです。このエピソードからも、単位の起源を確実にするものとはいえませんが、時間という単位が、単位という概念の初期からあったことがうかがえますね。


時は金なり。少し長くなってきたので、単位のキホンも前編はここまでにします。後編では、膨大な数が存在する単位の基礎となる、7つの単位を紹介します。

 

>>後編はコチラ

 

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