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単位のキホン[1]
  最初にはかった単位とは

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2013年5月23日、冒険家の三浦雄一郎さんが、世界最高齢の80歳でエベレスト登頂に成功しました。輝かしいニュースに日本中が湧いたのは、記憶に新しいところです。

エベレストといえば、標高8848メートル、山頂は気圧が地上の1/3(およそ0.3気圧)、気温は一番暖かい時期であってもマイナス17度ほどと、世界でもっとも過酷な環境の1つとして知られています。今でこそ標高、気圧、気温などを事前に知ることができ、さまざまな情報があるからこそ、今回の三浦さんのように万全の対策を講じたアタックが可能になりました。しかし、このような情報がなかった時代は、今以上に困難なチャレンジであったことは想像に難くありません。

エベレストのような過酷な環境だけでなく、単位は私たちの日々の暮らしに密接にかかわっています。天気予報や乗換案内、外出時に必ず確認する情報も時間や距離といった単位がベースにありますし、外出先で買い物をすれば、重さで決められたモノに対して対価を支払うこともあるでしょう。単位とは、すべての“はかる”ことの基本であり、私たちの生活基盤でもあります。

ここでは、普段何気なく使っている単位のキホンに迫ります。まずは、単位の始まりをひも解いていきましょう。


最初の単位は“時間”だった?

Pyramids at sunset

私たちは、日々の生活で多種多様な単位を用いて暮らしています。長さや温度だけでなく、重さ、時間、密度など、ありとあらゆるものが基準として単位を持っています。

こうした単位がいつごろ誕生して、どのように広まっていったのか。その起源にはさまざまな説があります。たとえば洋の東西を問わず、長さの単位は、“一歩の歩幅”や“両手を広げた長さ”など、人間のからだを基準としていました。当然個人差はありますし、民族によっては個体差もあるでしょう。狩猟の対象だった動物たちも、小さな単位の代わりを果たしていたかもしれませんね。

しかし、最初にうまれた単位は“時間”であったという説があります。古来より、人間にとって時をはかることが、生活とは切り離すことができないものだったからです。


今も残る“12進法”というはかり方

古代エジプトで天文学が発達したのは、農業における種まきや収穫のタイミングを決めるためでもありました。太陽の動きから1年365日の長さが知られていましたし、月の満ち欠けによって1カ月の長さが決められました。現在使われている単位のほとんどが、10進法を採用しているのにも関わらず、時間だけが12進法を基準にしているのは、1年の長さが12カ月であることに由来しています。このことひとつとっても、時間という単位がいかに人々にとって重要なものであったことがわかるでしょう。

古代中国でも円周を12等分し、時間と同様に十二支を割り当てていました。日本でも「草木も眠る丑三つ時」という言葉がありますが、このことからも日本での時間の概念が古くから、12進法だったことがわかります。

時間のほかにもう1つ12進法を用いている単位が、“角度”です。角度の起源は古代バビロニア。太陽が星の間を縫って1周する時間が365日であることに気がついたバビロニア人が、天空を365等分しようとしたことに始まります。365は半端なので360にしたということです。このエピソードからも、単位の起源を確実にするものとはいえませんが、時間という単位が、単位という概念の初期からあったことがうかがえますね。


時は金なり。少し長くなってきたので、単位のキホンも前編はここまでにします。後編では、膨大な数が存在する単位の基礎となる、7つの単位を紹介します。

 

>>後編はコチラ

 

Photo by Thinkstock/Getty Images


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