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単位のキホン[2]
  7つの単位が最初の分析機器

「はかる」ことの基本となる、単位。前回はそのはじまりをたどりました。暮らしを形作る「時間」をはかることから生まれた12進法はそのまま時間をつかさどり、現代を生きる私たちの生活にも受け継がれています。

一方で、一般的なモノのはかり方において採用されているのはほとんどが“10進法”。今回は10進法に起源を成す、現在の私たちの暮らしを支える単位の基礎となる、7つの基本の単位についてお話しします。


世界基準を定めた“メートル法”

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1年=12か月、1日=24時間ではかる時間、円を360度と定義した角度。今ではこの二つの単位でのみ12進法を基準としていますが、現在使われている単位のほとんどはフランス革命のときに誕生した、10進法の“メートル法”を世界基準としています。世界共通で使える統一の単位制度の確立をめざし、制定されました。ちなみにこのとき、時間の10進法も提案されましたが、評判が悪く定着しなかったという事実も残っています。

メートル法の基本は「子午線」と「水」です。長さの基本となる1メートルは、地球の北極点から赤道までの子午線弧長の1000万分の1の長さで定義されました。重さの基本、1グラムは1センチ立方で摂氏4度の水の重さ。温度に関しても同様に、摂氏1度の目盛りは、水の沸点と融点を100等分したものと定められています。「メートル」の名は、ギリシア語のメトロンやラテン語のメトラムが起源で、「はかり」や「測定」を意味します。グラムはラテン語のグランマで、「小さい重さ」という意味があります。


基本の単位はたったの7つ

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メートル法が基準となって以来、技術や産業が発展するにつれ次々に新たな単位が生まれてきましたが、その分大きな混乱も生じました。そこで1960年に「国際単位系」(略称SI)が制定されました。その基準となったものは7つ。長さ(メートル)・質量(グラム)・時間(秒)・電流(アンペア)・熱力学温度(ケルビン)・物質量(モル)・光度(カンデラ)です。

あまり耳馴染みのないものもあるかもしれませんが、この7つの基本単位で、ほかのさまざまな単位を定義づけすることができます。たとえはラジオの周波数はヘルツという単位であらわされますが、ヘルツは時間を用いて説明できますし、私たちの食事にかかわるカロリー(熱量・ジュール)も、熱力学温度を基準にはかることができます。

また、単位にはその大きさをあらわす接頭語が存在します。大きなものから小さなものまで20種類ほど定められており、たとえばインターネットをする人なら「ギガ」「テラ」という言葉に聞き覚えがあるかと思います。これらは「巨人」「怪物」といった大きいモノをあらわすギリシア語が起源です。ニュースなどで耳にすることもあるでしょう、「ナノ」「ピコ」はラテン語が起源で、それぞれ「小人」「キツツキ」を意味し、小さな単位の接頭語となっています。

分析の世界では「ppm」「ppb」という言葉がよく使われます。どちらもパーセントの変形で、「セント」が100分の1をあらわし、「センチュリー」が100年のことであるように、「パーセント」は100分の1。「ppm」の「pm」は「パーミリオン」、すなわち100万分の1、「ppb」の「pb」は「パービリオン」、すなわち10億分の1を意味します。いずれも最初の「p」はパーツ(部分)を意味するので、物質の微妙な濃度などを表現するときなどに、よく使われています。これらは単位ではありませんが、それぞれ大きさや長さ、重さなどを持つ分析対象をはかる際の物差しになります。


単位が最初の分析機器

単位を生み出し、その基準を定めたことによって、私たちの生活はとても便利になりました。スーパーで牛肉を買う時は、グラム数が表記されているので、それを目安に買い物をすることができますし、道路を自動車で走る時は、制限速度が決められていることで、一定の秩序を保って通行することができるのです。

私たちはさまざまな機器を用いてあらゆるものをはかってきましたが、もしかすると単位が最初の分析機器なのかもしれません。これから「はかる場」で紹介する記事でも、さまざまな単位が登場します。そのひとつひとつに意味があり、それらを理解することで、日々の生活がより便利に、楽しくなるといいですね。単位のキホン、前後編でお送りしました。

 

>>前編はコチラ

 

Photo by Thinkstock/Getty Images


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