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ピカピカをはかる[2]
  光沢をはかる仕組み

前回お話ししたように外観や内装、店舗や施設の美観は、集客や商品の売れ行きを左右し、大きな影響をあたえます。この時人の見た目に訴えかけるのが「ピカピカ」=光沢。ピカピカを維持すべき場所では対象となる表面光沢を細かく管理することが求められています。

実体があいまいなピカピカ、どのように管理するのでしょうか。そうです、答えは光沢を「はかる」。今回は光沢をはかる仕組みについて、お話しします。


反射を利用するはかり方、鏡面光沢度測定法

光沢は、モノの表面に光源(光を出す元、電球など)の像を映しこむ性質のことであり、「つや」や「てり」などさまざまに表現される心理的、感覚的な物理量です。「ピカピカ」もそのひとつと言えます。わかりやすく言えば”反射具合”でしょうか。日常生活で車にワックスをかけたり、床や家具などを磨く時に、いろいろな角度から覗きこんで顔の写り込みを確認したことありませんか? この時、どれだけ光沢が出ているかをみて、仕上がり具合を判断しているのです。

誰もが経験に応じてそれぞれの尺度を持ちますが、光沢を人により判定する場合、その時々の周囲の明るさや体調・精神状態によっても結果に差が生じるため、常に客観性を持たせることは非常に困難。そんな光沢をはかるのにもっとも一般的で広く使われている方法が「鏡面光沢度測定法」です。

 

一般に物体表面に光があたると、光は表面で反射したり、一部は透過・吸収されたりします。このうち反射する光は物体表面の特性に応じて、以下の2種類にわかれ、これらの光が組み合わされて反射します。

①鏡面反射光・・・・・入射光と同じ角度で反射する光
②拡散反射光・・・・・あらゆる角度に拡散反射する光

ガラスや金属の研磨面など鏡面に近いものの場合には、図1のように鏡面反射光成分が大きく、拡散反射光成分は小さくなります。この場合、私たちは光沢が高いと感じます。逆にすりガラスや和紙などの場合には、図2のように鏡面反射光成分は小さくなり、光沢は低いと感じます。

鏡面光沢度測定法では、この性質を利用し、図3のような構造で光沢度を測定しています。測定したい面Tに、規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し、鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束を受光器で測定します。光源からの光はレンズL2の焦点位置にあるため、試料面でほぼ平行光が照射されます。試料面Tからの鏡面反射光は受光レンズL3及びその焦点位置にある受光開口を通って受光器に達します。この入射角度は20°、45°、60°、75°、85°の5種類が規定されており、測定する面の光沢に応じて使い分けられますが、実際には、低光沢から高光沢まで感度のある60°の入射角が最も一般的に用いられています。

後半の図解と説明は少々難しいお話でしたが、光の道筋を固定し、その光の量をはかるという仕組みです。


ピカピカ具合には、はかる対象の測定面での反射光と大きな関係が

光沢計ではかる値は測定面での反射光の性質と大きな関係をもっています。反射光の性質は測定面の構造や表面特製(表面の粗さ、屈折率)などで決まります。したがって、はかる対象のもつ表面特性について理解しておくことは非常に重要なことなのです。いくつか代表的な材料を紹介します。

 

・ガラス板
表面が光学研磨された平滑なガラス板の場合には、光沢度がガラスの屈折率だけで決まります。同じ角度ではかる時、屈折率が高ければ反射率、光沢度も上がるといった具合です。ただし透明ガラスをはかる場合は、十分な厚みを持たせる・裏面につや消し塗料を塗布するなど、裏面での反射の影響を防ぐ必要があります。

・塗装板
塗装面に入射した光は

①鏡面反射方向に反射する鏡面反射光成分
②表面の小さな凹凸のため四方に拡散反射する表皮拡散反射光成分
③一度塗膜内に入り内部で散乱や吸収を経過した後、四方に拡散反射する層内拡散反射光成分

とに分かれて反射します。鏡面反射光や表皮拡散反射光は、塗膜の屈折率や表面の粗さによって決まり、塗膜の色や吸収特性の影響を受けませんが、層内拡散反射光は塗膜の色・明るさや吸収特性の影響を受けます。このように複雑な反射特性を示すため、鏡面光沢度だけでなく、反射像の鮮明さや明るさなども受ける光沢感を決める要素となります。

・床用タイル
店鋪やオフィスなどの床に敷かれたタイルの場合には、通常美観を維持するため定期的に清掃やワックスがけを行います。このような清掃の作業効果の確認は従来、人による目視検査に頼ることが多く、検査する人の個人差などにより判断にばらつきが生じたりして、どうしても基準があいまいになります。このような床の光沢管理の分野においても科学的管理の重要なツールとして、はかることが用いられます。表面で鏡面反射または拡散反射する光がほとんどで、タイル内部に入る光はありませんが、ワックスを塗り重ねた場合は塗布したワックス内に入り内部で散乱や吸収を経過した後に反射する再帰反射光があります。

・石材
石材の場合は内部に透過する光はほとんどなく、表面の粗さの度合いに応じた数値が得られるため、光沢の測定だけではなく「表面の加工や研磨の仕上がり具合」「表面のキズや劣化の程度」をはかるために用いられたりします。


実際に光沢計を使ってみました

仕組みに続き、今回は少し難しい内容になりました。しかし、測定方法はいたってカンタンなんです。HORIBAの光沢計、グロスチェッカIGを使ったはかるようすを見てみましょう。

いかがですか? 電源をONにして、測定部をはかるものに押し当てるだけ。でも、はかる仕組みを知りながら数値を見るのと、知らずに数値だけを見るのとでは、理解が違ってきますよね。


光沢をはかる仕組み、実際に光沢をはかるようすを見てもらいました。次回は、光沢をはかることが事業に採り入れてられている現場にうかがいます。実際の現場での使われ方、そしてそれが事業にどのような意味をもたらすのか。お楽しみに。

 

ピカピカをはかる

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